中日新聞矢崎藍の「付けてみませんか」「矢崎藍の付けてみませんか」コラム 中日新聞（木）朝刊・東京新聞（木）夕刊・掲載です
中日新聞で１９９０年から始まった付け句コラムです。募集コラムのあと、読者の付け句を紹介します。基本的にコラムですので、入選順位、賞のようなものはありません。付け句は活字メディアでの募集ですのではがきでご参加ください。２００１年１０月から、東京新聞にも掲載。応募者は中部地方と首都圏に広がって、ちょっと激戦。皆さんがんばってね！
◆過去のコラム1999年−2005年◆このコラムのそもそも
前句
いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵
| 「募集」中日・東京12月20日（木） 募集 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 砦のごとく薪積み上げて 鈴木辰彦 子の帰り待つ樽の漬物 斉藤房道 冬支度は昔からの暮らし、手仕事。懐かしい句 が多かったですね。そして長寿社会の健康法も。 ばあば遊ぼと庭で呼ぶ声 暁 ニンニク食べて熱い吐息で 洋一 めらめら燃える老いらくの恋 康直 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） アラブの神よアブラをおくれ 寺田政裕 エルニーニョで撃退するぞ 千秋 ご応募多数多謝。まだ佳句ご紹介したいけれどここで打ち止め。つぎを楽しんでくださいね。 さて宿題です。 時間よ止まれいまこの場所で のら この七七句に五七五句を付けてくださいな。 （時間よ止まれいまこの場所で） 答案がまだ半分もできてない たつみ 事実、経験でも、想像でもいいですよ。 （時間よ止まれいまこの場所で） パパ好きとちっちゃなお手々しがみつく まみ ささやかな一瞬も。恋句はもちろん、感動のドラマ。自然の風景。大笑い、時事句もぜひ。 付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。一月五日（土）までにご投かんを。五七五句ですよ！ （やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授） |
| 「あったかココア」中日・東京12月13日（木） 発表5 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） サザンカの花咲き誇る道 齊籐花奈 あったかココアとこたつとみかん ねこまんま 「私はこたつとみかんが冬のイメージ。プラスココアも仲間入りでーす」 みかんの句多数。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 廊下に並ぶ雑草の鉢 しなのん 「寒い信州。球根が凍らないように家にいれた鉢には雑草が育っています」 みずみずしい緑。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） フグ刺し地酒俺と飲もまい 横地清吉 医者に内緒で熱燗少し 輝翁 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 母手作りの綿入れ袢纏 耀 おんぶしようよねんねこばんてん あき 「今あまりおんぶしませんね。暖かいよー」 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） ロシアの大地プーチン戦略 門啓 サブプライムの先の暗雲 金太郎 雪になるのか？ （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 夜のマラソンカラオケ二曲 鈴木正子 古女房と火花散らして 愛西愛妻 気力体力は、これ、鍛錬ですと。。 夜もて余す金婚の旅 石田喜美子 かも。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） またぎ語れば炉に火がはぜて 岩津志乃ぶ （やざきあい 作家・桜花学園大学教授） |
| 「白寿の母の」中日・東京12月6日（木） 発表4 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 落葉かいてる日がな一日 池戸芳枝 葉が降って降って、じき裸木に青空です。 綿入れ帽子路地の地蔵に ハッピー こうして優しく生きたいこと。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 走れチャリンコ目指すはオリオン 三日月 「卒論にスパートをかける時期です」って。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 娘は入試俺は検定 金槌 「中年社員も語学検定、資格試験。家中で勉強勉強のわが家です」 合格の夢きっと正夢 近藤徳枝 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 眼鏡ふきふき天ぷらうどん 右京清子 おでんしゃぶしゃぶ湯豆腐水たき ポンタ うわい。鍋物句がすごくきてます。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 小さく縮む味噌鍋の牡蠣 近藤富子 キムチ鍋にはニラもたっぷり 武藤美恵子 韓国風鍋も大人気。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 白菜足して五日食う鍋 坂たん 「独り者にいちばん楽な献立」―主婦にもよ。 白寿の母の作る粕汁 あきら まいった、まいった。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） イルミネーション下の人波 耕人 （やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授） |
| 「小麦の涙」中日・東京11月29日（木） 発表3 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 朝陽を浴びて冠雪の山 沙太 「フロントガラスごしに御岳を見て出勤です」 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） いも虫除けて白菜漬ける 船橋千裕 よろいそろえて軒にカメ虫 みゆき カメ虫くんも寒い。嫌がられつつこれも共生。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） ほんわかしてる君の近くで 島田有佳 手袋とって彼の手握る まゆみ 「冷たいね」「あったかーい」お幸せに。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 足に行火のコードが絡む 近藤スズ 部品はありや旧型ストーブ 石川牧子 さて、今年の暖房対策は厳しそう。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 原油高騰家庭直撃 柴田浩平 油田はないか畑耕す 田渕義明 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 燃料になる小麦の涙 青麦 パンになりたいって！ ああ、砂糖黍も泣いてる。コーンも泣いてる。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 値上げの嵐負け戦かな あか丸 地球温暖家計氷河期 なずな主婦 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） コツをつかんだ高速はいはい ママばあば 赤ちゃんの生命力にかなうものなし。 （やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授） |
| 「メタボ隠蔽」中日・東京11月22日（木） 発表2 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 蝉のなきがら落ち葉が埋め 水野千恵子 ついちょっと前まで夏だったのに。 風に耐えてる黄葉一枚 咲美 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 今年流行ブーティーブーツ 飴 短くて可愛いんですってよ。 タイツババシャツあなたに内緒 田中久美 コートの季節メタボ隠蔽 浅野健 うふ。これも流行。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 餅に罪なし伊勢の名物 浮世床 のれん大ゆれ食品偽装 タマ助 食うか食わぬか、実は自分で判断できない ものばかり食べているわれら現代人。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 私あなたの湯たんぽになる 晶 告白なのよ。 お炬燵でささやく君のつま先 真宮天狼 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） ハワイの別荘掃除お願い 眠り猫 「なーんて言ってみたい」ですって。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） ミンクの下はシャネル五番で いちぞう やってみる？ （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 核は凍結しといて下さい もにか （やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授） |
| 「ちくわかまぼこ」中日・東京11月15日（木） 発表1 |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 紅葉は風に思いきり舞う 趙秀梅 干し大根の白さまぶしく マコママ 寒いけど、冬の輝きもやってきました。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 恋人できたマフラー買った ミモザ やった！ 彼のコートにくるまれる夜 ひわ 女ってこういうの弱いのです。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 辞意は本気かまた駆け引きか 禅一 うう。アベ辞任劇に続くオザワ辞任劇。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 暫く暫くひきとめる役 増田均 しかしそもそも二人で幕をしめての会談が問題だったのだ。マスコミにのせてはならぬ話があったのだぞ。疑心暗鬼列島。 ちくわかまぼこグツグツ連立 茶子 ――なのか。思えば同じ鍋の中。 仕掛けは進み明けて選挙か 嘉男 ――なのか。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 老母の手の甲しみも薄れて ふさ子 「最近発見しました。透き通るようにきれいになった９３歳」老いのさきにひょっとして再生？いのちの不思議。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 猿が見ている遠い稜線 聖子 (やざきあい 作家･桜花学園大学客員教授) |
| 「しめきりですよ」中日・東京11月8日（木） 締め切り |
| （いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵） 義母より甘めのっぺ煮ている あづさ もうヒーター入れてるという新潟からの付け句です。のっぺ汁をのっぺというそうな。堀りたての里芋とろり、それに、人参、椎茸、蒲鉾を短冊切り。え、イクラも入れるとご馳走。「汁は少なくて実だくさん、たくさん煮て冷たいまま何日か食べます」農家の醤油味はもともと辛いけれど、いまの若いお嫁さんはやや薄味にするんですね。 実は連休があってまだご応募の皆さんのはがき第一便が届かないので、一昨日ある会合で、初めてのかたに付けてもらったら、 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 風によろめく八十五歳 敬二郎 の句に「恋によろめくにしたいねえ」と声あり大笑い。ええ、付け句はご友人、ご家族と話しながら付けるのもよし。またひとりでこの世界にこもり、一句書き、また一句、と何句も想像するのもよしです。――だから句数制限しないんですよ。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） おへそを出して穴あきジンズ じろりん 寒くないんですって。 付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。十一月十日（土）までにご投かんを。七七句ですよ！ （やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授） |
| 「募集」中日・東京11月1日（木） 募集 |
| （ばったり会った人ごみの中 めじろ） 初恋のあの人も今メタボ腹 北 戦前を生きた同志のコップ酒 雪春 （ばったり会った人ごみの中） 散歩ですお墓にばかりおりません 小林きね 足がなくてもね、会いたいひといますねえ。 （ばったり会った人ごみの中） 県知事に地鶏をどうぞと薦められ タイガー いやまさかホントにいたのか波平さん 少年Ａ おかしなものにも会った人ごみでしたね。今回は６０数校の高校からも参加。ご応募多謝。 さて、つぎの宿題ですよー。 いざいざと冬将軍を迎えうつ 葵 この五七五句に七七句を付けてみませんか。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） どっさり買った特売の肉 圭 お宅の冬支度は？ 名案迷案もどうぞ。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 布団の中で寝るが一番 ザリ ありゃ。恋句も歓迎。虚実楽しく想像を。 （いざいざと冬将軍を迎えうつ） 猫三匹と彼が一匹 藍 冬を迎える街、山、海の景色、動物、植物。それに、政治経済、世界情勢など時事句もぜひ。 付け句は〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。句数制限なし。住所、電話番号、ペンネームの方も本名を必ず書いて。十一月十日（土）までにご投かんを。七七句ですよ！ |
◆「矢崎藍の付けてみませんかコラムのそもそも」
このユニークなる（伝統と現代の衝突じゃぞ！）中日新聞の付け句コラムは１９９０年にはじまっています。最初は朝刊の「辛口診断」という時評コラムの中でした。矢崎藍担当コラムで、ある日、付け句の話題を紹介して、「あなたも付けてみませんか」と、（いわば言葉の綾で）文章をしめたところ、読者から付け句がきたのです！ 掲載するとまたきた！ やっほっほ、どーしよー！ とうれしい悲鳴が続いて、とうとう「募集、しめきり、発表」という形をとるようになりました。ちなみに最初の記念すべき前句と付け句は
恋なんてどうでもいいと古稀は言い 敏女
それでも赤い薔薇が好きなの、 しげる
でした。くわしくは『連句恋々』（筑摩書房）に書いてあります。
1996年に「矢崎藍の付けてみませんか」として独立、日曜日の読者総合特集ページへ。
1998年に（金）夕刊に引っ越し、文化欄「矢崎藍付けてみませんか」
2001年10月から東京新聞にも同時掲載となり、
2003年6月から朝刊掲載となり現在に至っています。
募集１０日後しめきりがふつうで、５、６回のコラムの中で発表となります。「今を、共に、語る！」という対話的付け句コラムの内容は終始変わっていません。
『平成付け句交差点』（筑摩書房）はこの欄の精選付け句集です
◆過去のコラム１９９９−「あと一年で二千年なり」（１／８−２／１２）
「働きすぎてちょっと疲れて」（２／２６−４／９）「不覚にもまた恋をしそうな」（４／１６−６／４）「むくむくと入道雲が立ち上がり」（６／１１−８／６）「電子レンジがチンと鳴る夜」（８／１３−９／２４）「急がないのがうちのモットー」（１０／１−１１／５）「濃すぎるかしらけさの口紅｝（１１／１９−１２／２４）◆２０００「
朝の光が透けるカー テン」（１／７−２／１８）「不況にもめげぬ男はつらいこと」（
２／２５−４／１４）「あなたを見てたずっと前から」（４／２１−６／９）「ぼんやり見てる窓越しの雨」（６／１６−７／２８）「氷カランと麦茶の香り」（８／４−９／２２）「ふと目が合った恋のはじまり」（９／２９−１１／１０）「信号がもうすぐ赤に変わります」（１１／１７−１２／２２）◆２００１「２００１年元旦の膳」（１／５−２／９）「振り返ったら妻がにっこり」（
２／１６−３／３０）「あなたが好きよ規格はずれで」（４／６−５／１８）「土曜二時半雑踏の中」（５／２５−７／６）「誰にも内緒そっと寄り道」（７／１３−９／７）「あなたにひとつ言いたいことが」（9/7-10/26）「秋深き隣は何をする人ぞ」（10/26-12/21）「ざぶりとつかる湯はあふれ出て」（１２／２８−２／８）「おおきくひとつ息をしてみる」（
２／１５−４／１２） 「さわさわとふたりの中を過ぎる風」（4/19-6/14）「母さんに会ったら涙こぼれそう」(6月21日-8
月6日)「命あふれて好きな日盛り」（8/2-9/27）「横顔の君にきょうこそプロポーズ ななしげ」(10/8-12/18)「恋情のただやるせなき雪ぐもり 聖子」(12月25日-2/25)「いち、にっ、さんしとつづく人生 おはぎ」（2/26日ー4月23日）「ぜんぶ話すよ今までのこと うさぎ」（4月23日ー6/19）「水
晶玉に未来尋ねる R」（6/19ー8/21）「恋という熱じわりあがって おはぎ」（8/21ー10/30）「体育館の窓の夕映え ジュン」（10/30ー12/25）「いやですいやだ絶対いやだ ザリ」（12/25-2/26）「ふたりだと胸がつまって苦しいの
みのり」（2/26-4/22）「今ならいいわ誰も見てない 公仁子」（4/22-6/17）「月は涼しく中天にあり 霞」（6/17-8/5）「
父と子の言葉とぎれて蝉の声 麓天」（8/5-9/23）「君が好きだと気づく瞬間 奏」（9/23-11/11）「ツ
リーのてっぺん星が見ている 成富屋」（11/11-12/30）「いつのまに雪はしずかに降りはじめ あづさ」（12/30-2/25）「
さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉」（2/25-4/21）2005
魔法使いが杖をひと振り ひわ(4/21-
6/2) アスファルトをうつ大粒の雨 聖子(6/2-
7/20)さあ今日も長い道のり一歩ずつ とろっぺ(7/20)
呼び出し音に胸が高鳴る 翠(9/15-11/3)金色の落ち葉かさこそ吹かれてく 洋(11/10-12/22)大根も煮えおでんふつふつ 健(12/22-2/23)愛してるって言ってちょうだい
藍(2/23-4/13)泣きながら一人生まれてきたんだよ かよねこ(4/13-6/1)ちょっと待ってと呼びとめる声 蘭月(6/8-7/20)今日をひたすら鳴いている蝉 京(7/27-9/7)思いがけない好きのスタート さくら(9/14-11/2)足がもつれてもう踊れない 風(11/9-12/21)めでたさも中位なりおらが春 一茶(12/28-2/15)風に吹かれて胸がいっぱい 珠(2/22-4/5)まいどのことでおせわさまです たつみ(4/5-5/24)恋とは不意にやってくるもの
卓(5/24-7/19)市中は物のにほひや夏の月 凡兆(7/26-9/6)ばったり会った人ごみのなか めじろ(9/13-11/1)